Satsuki Laboratory's blog

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ようこそ♪
和光大学現代人間学部身体環境共生学科大橋さつき研究室の活動報告ブログです。

「ムーブメント教育・療法」や「ダンスパフォーマンスプロジェクトMerryZome(メリーゾム)」、
研究室、ゼミ生の活動をお伝えしています。

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〒195-8585 東京都町田市金井町2160
和光大学現代人間学部身体環境共生学科
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  • 遊びを生み出すアセスメント〜MEPA-Rの活用〜
    大橋さつき (01/16)
  • 遊びを生み出すアセスメント〜MEPA-Rの活用〜
    狩野和哉 (01/16)
  • 七夕の世界で遊ぼう!〜岡上こども文化センター親子ムーブメント出戻り版〜
    さ (08/14)
  • 七夕の世界で遊ぼう!〜岡上こども文化センター親子ムーブメント出戻り版〜
    虹の子の森 (08/14)
  • 遊び種〜たんぽっぽ〜 「学生ボランティア団体」表彰式のご報告
    さ (02/22)
  • 遊び種〜たんぽっぽ〜 「学生ボランティア団体」表彰式のご報告
    森正人 (02/22)
  • 森の探険〜公立保育園を拠点とした子育て支援としての遊び活動〜
    さつき (10/10)
  • 森の探険〜公立保育園を拠点とした子育て支援としての遊び活動〜
    重松 (10/10)
  • 遊びがいっぱいの大きな家(乳児院での遊び活動支援)
    さつき (07/17)
  • 遊びがいっぱいの大きな家(乳児院での遊び活動支援)
    虹の子の森 (07/16)

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 6月なりました・・・。 もうすぐお誕生日でウキウキ気分の次男Call、そういえば、春先にあんなに夢中で、ず〜〜〜っとやってた「スキップ」・・・、最近は全くやらなくなりました。 なぜ最近スキップしないのかたずねると、「えっ?だって、もう、できるからにやり」・・・。 ・・・ふ〜ん、もうできちゃうことは面白くないのね・・・。

 

 そんな我が子との会話から久々に、「ムーブメント教育・療法について理解するために・・・」のカテゴリーの記事を書きますね・・・。

  ムーブメント教育・療法の祖、Frostigは・・・、子どもが自分から「〜したい」と感じ経験して学ぶことができるための課題は、子どもにとって努力が必要なものであり、簡単すぎるものも難しすぎるものも適さない・・・と述べています。
 小林芳文先生には、プログラムは、一人ひとりの発達段階に適した「もう少しでできるようになる」課題を重視して設定するように教わりました。自分の設定したプログラムが子どもに適しているのかどうか不安になったら、子どもの顔をよく見なさい・・・と。子どもが嬉しそうな表情や没頭した表情だったらOKだ・・・と。 
 子どもが主体的に学ぶためには、子どもが自ら挑戦したいと感じる課題が必要です。子どもに最も適した課題を提示するためには、一人ひとりの発達の様相を詳しく把握する必要があります。
 近年、特に、発達障がい児支援においては、パターン化した処方や個別性を考慮しない対応に偏り、「発達段階に応じた教育」ではなく「障害特性に応じた教育」を一義にかかげる傾向が強くなっていると懸念されています。個人に関する固有のことすべてが「○○障害」の特徴として語られていくと、一人の人間として目の前にいる子どもを見つめる、その子の全体像に寄り添うという当たり前の姿勢を見失いがちになってしまいますね。

 ムーブメント教育・療法における診断・評価、アセスメント(MEPA-R)の活用については、過去の記事も参照ください。
   やじるし やじるし やじるし

  ★遊びを生み出すアセスメント〜MEPA-Rの活用〜(2012/07/25) クリック 

  ★診断・評価は「個人の尊重」のためのに -あらためてFrostigの理論から学ぶ-(2013/03/05)クリック

 ムーブメントリーダーに必要なのは、子どもに「遊びを指導」しようという構えではなく、「共に遊ぶ」存在として、同時に、目の前の子ども中心に常にその場を捉え、遊びの発展性を探る力であると言えるでしょう。子ども一人ひとりが夢中になって精一杯の力を使って取り組む遊び活動を実現するためには、発達段階の様相の理解に加え、個性の把握も必要となってきます。
 すなわち、遊びの中で発達を支援するには、一人ひとりの子どもにとって何が遊びになるのかについて、子どもが「今」何をおもしろがっているかを見極める力が必要で、その判断においては、発達段階に合っているかという点と、子どもの得意(強さ)−不得意(弱さ)、好き−嫌いといった「特性や好み」を考慮しているかという点が重要ですね。遊びの中で見えてくる子どもの姿に寄り添いつつ、子どもが自分で発見する課題をもっと大事にしたいですね。
 
 楽しい遊びの場が増えますように・・・うふ♪

3月3日に、卒業生が代表をつとめるNPO法人CMDゆうゆう主催の研修会に講師としてよんでもらいました。CMDゆうゆうは、神奈川県相模原市を拠点にムーブメント活動を活かした障害児支援や子育て支援に取り組んでいます。この日は、相模原市 市民・行政協働運営型市民ファンド「ゆめの芽」 平成24年度の助成を受けての開催とのことでした。

親子ムーブメントの実践と講義の2本立てで、私は、ムーブメント教育・療法の基本理念や家族支援のポイント、そして、みんなで創造的な遊びの場を創ることの大切さ等をお話させてもらいました。

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子どもたち一人ひとりが見えてくる創造的な遊びの場に参加でき、また、卒業生の活躍の様子を実感でき、とても嬉しいひな祭りの日でした。

でも、私にとって大事な気づきは、事前の準備段階からありました。

内容や実施方法について打合せする段階で、参加予定の子どもたちの情報を教えてほしいとお願いしましたら、1歳から小学校5年生までの十数名の子どもたちの様子が細かに報告された返事が届きました。

文字数としてはそれぞれ100字にも満たないのですが、でも、一人ひとりの様子が本当に活き活きと伝わってきて、読んだだけで会うのが楽しみになりました。

もちろん、発達障害の診断を受けているお子さんについては、診断名もきちんと記してありましたが、それ以外のところに、これまで継続して活動してきたからこその、現場主義のムーブメントリーダーの「まなざし」が感じられ、素直にすごいなって思いました。

研究調査や療育相談等通して発達障害児に関わる大人達は、子どもの年齢と性別と「障害名」をまず聞いて、「アスペルガー」「高機能」「PDD」「ADHD」と細かい分類名や発達検査の数値で情報を得てそれで全てを分かった気になってしまいがちです・・・ね。それって大きな間違いだと、教え子に、あらためて教えられた気分です。


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 Frostig,M.(1976)Education for Dignity.Grune & Stratton, Inc.(伊藤隆二・茂木茂八・稲浪正充(訳)(1981)『人間尊重の教育−科学的理解と新しい指針−』,日本文化科学社)より ムーブメント教育・療法の祖 Frostigが論じていることを紹介します・・・♪

Frostigは、子ども一人ひとりに適合するための個別化された教育プログラムが必要であると唱えました。ですから、そのために、子どもの発達段階を視知覚、聴知覚、運動技能、認知、言語などの面から観察やテストバッテリーで正しく把握することを重視し、精緻なアセスメント開発に精力的に取り組みました。

しかし、人間に対する「ラベル付け」や「カテゴリー化」については、厳しく批判しているのです。

困難を抱える子どもたち一人ひとりに原因と症状があり、一人ひとりに個別の対応が必要であるという考えから、教育において、子どもを分類し分離することは不可能であると論じています。

子どもたちを分類することによって、カテゴリーに一致しない症状が見落とされ無視される危険性を訴え、どのような場合においても、子どもたち一人ひとりの発達において、「全ての面」を考慮に入れる必要性を論じています。

さらには、子どもに対するレッテル貼りが不必要な違和感の原因となり、親の不安や教師の悪い先入観につながる恐れもあることも指摘しています。

ですから、診断や評価は、決して、子どもたちを分類するためでなく、子どもの現状や特性についてより深い理解と知識を得て、最適の教育計画を確立するためになされるべきであると論じています。

小林芳文らが開発した日本のムーブメント独自のアセスメント「MEPA」もまさにこの考え方に基づいています。
 *詳しくは、こちらの記事をご参照ください。
   遊びを生み出すアセスメント〜MEPA-Rの活用〜(2012/7/25)


また、子どもの発達を考える際、人が環境や他者と互いに影響し合っているという相互作用の視点を常に持つことを重視しています。

それは、Frostigが、人は一人ひとりユニークな存在であると捉えるからこそ、「環境の意味は一人ひとり違う」と、個人を取り巻く環境との相互関係におけるいろいろなつながりの構成要素をできるだけ詳細に正確に表そうとする試みを続けてきたことに通じます。

実際、Frostigは、学習障害の子どもの療育のために、感覚−運動や知覚面の細かい診断にあたりながら、常に子どもの生活の全ての局面を考慮に入れる必要性を説き実践していました。

包括的に全体を見るということは、「曖昧」にとらえるということではなく、「個人の尊重」のために、子ども一人ひとりを「個別化」し、そして、「全体」としてとらえることを重視していたのです。


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ムーブメント教育・療法は、発達支援法です。これまでの研究実践のおかげで、障害の特性や発達段階に応じた環境づくりのための方法論が豊富です。
けれでも、それらは全て「ツール」でしかないのだと私は思います。
ムーブメントリーダーは、「誰のために」「何のために」そのツールを活用するのかを見失わないようにしなければなりません・・・。

充実したムーブメントによる遊び活動の現場では、自然と、「自閉症の子どもは・・・」と障害名を主語にして話すのではなく、「○○君は、」「○○ちゃんは、」と一人ひとりを主語にして話すことを大事にしていると感じています。

今年度は、サバティカル制度を利用して、発達障害児の家族や支援に関わる方々と沢山お話させていただきました。
特別支援教育が始まってここ数年の間に、「診断」が強く求められるようになりました。けれど、診断の先にある具体的な支援の取り組みは、質も量も不足しているのだと、現場の声を聞くたびに痛感します。

診断・評価は、単なる分類やラベル貼りのためではなく、「個人の尊重」のため・・・というFrostigの論を大事に、考えていきたいと思います・・・。

長い文章を読んでくださって、ありがとうございました


パラシュートは、ムーブメント遊具の代表でとても魅力的な環境づくりに役立ちます。

(パラシュートの活用例については、以下の記事をご覧ください。) 
 ムーブメント遊具の活用法〜パラシュート編〜(2010/11/04)

中でも、パラシュートの上に子どもを乗せて揺らす活動は、
ダイナミックで、笑顔が溢れる楽しい場面になります。

気持ち良さそうに寝そべっている子、
IMG_0709.png

集中した表情でバランスをとって立ち上がろうとする子、
DSCF4077.png

細かく跳ね続ける子、高く高く飛び上がる子・・・、
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子どもの発達段階や好みに、回りの人たちの力加減もその場で適用して、
一人ひとりにあった揺れの活動をつくり出すことができます。

子どもたち一人ひとりの笑顔に周りの大人たちも誘われて笑顔になります。

初めてだったり、まだ小さかったりで、
「乗りたいな、でも、ちょっと怖いな..」という表情で、
自分からパラシュートの中に入ってこない子の場合は、
大きく揺らすのではなく、真ん中に座って乗ってもらって、
地面に着けたまま左右に揺らしたりすることから始めて、
揺れに少しずつ慣れてもらうこともできます。
ママに抱っこしてもらって一緒に乗ると、
子どもはもちろんママの方がきゃっきゃっと喜んでとびきりの笑顔になります。
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特に多動の傾向が強く集団活動が苦手なお子さんの中には、
このパラシュートのダイナミックな揺れの活動が大好きで、
そこから、順番を待つことや小さい友達に対する思いやりなど、
社会性を育む機会に発展することがあります。

para011.png

どんなタイプのお子さんでも楽しむことができるし、
みんなが一緒に関わってハッピーな気持ちを共有しながら、一体感を感じられるので、
集団プログラムでは、ラストの「盛り上がり」の場面で活用されることが多いのです。

ただの大きな丸い布ですが、
集団の力で、遊園地の遊具施設にも負けないほどのダイナミックな展開や
一人ひとりのニーズに合った「乗せ方」が可能になります。
ムーブメントの理念、「笑顔が笑顔を呼ぶ好循環」を表す象徴的な場面になります。
  (だから、本の表紙のイラストにもなっています♪)
51SnXYZxHIL._SS500_.jpg

****
さて、前置きが長〜くなりましたが・・・、
今日お伝えしたいのは、そんな魅力的な遊具、パラシュートの活動の中で、
私があらためて考えたことです。

発達障害児とその家族を対象としたある現場でのこと、
ムーブメント初体験の親子が多かったのですが、
やはり、このパラシュートの揺れの活動は大盛り上がり!
それまで、集団の中で楽しそうに過ごすことがなかったというお子さんが
声を出して大喜びする様子に、
顔を見あわせて嬉し泣きするお母さんと支援者の方もいました。
1,2歳の小さいお友達もママの抱っこで乗ってもらって、
穏やかに揺らしてもらい、いい笑顔を見せてくれました。

あの子もこの子もみんな笑顔で楽しめた!すごいすごい!という盛り上がりの中、
小学校高学年のある男の子に順番が回ってきました。
母親や多分その子に関わってきたであろう支援者は、期待でいっぱいの表情です。
でも、その男の子は首を「イヤイヤ」とふって乗らないという意思表示をしました。
一旦、順番をとばして、他のお子さんを乗せて、再度尋ねましたが、乗ろうとしません。
怖がっているようには見えなかったのですが、念のために、
じゃあ、小さいお友達がしたように、座ったまま優しい揺れで乗ってみようかと
誘いましたが、やはり、首を振りました。
周りの大人も何とか他の子がみんなが体験した活動を彼にも・・・
という強い想いで、誘っています。
そしたら、彼がはっきりと力強い声で「今日は乗らない」と言いました。
私は、すごく、すっきりして、「そっか、了解!」と言いました。
「えっ?乗せないの?」ってちょっと残念そうな表情をする大人も居て、
正直、もうちょっと強引に誘ってもよかったかな〜と、
ちょっと気持ちが揺れてしまいましたが、
その前も後も彼がパラシュートを持って楽しそうに揺らし、
ずっと笑顔だったので、やっぱり、それでよかったと思いました。


私は、クリエイティブなムーブメントの良さは、
その子なりの表現、その人なりの参加の仕方が尊重されることが可能で、
「みんな違っていい」と「違うけれど、みんな一緒なんだ」を感じる体験
を提供できることだと考えて、取り組んでいます。

そして、特に、発達障害のある子どもたちとのかかわりの中で、
「自己決定」の場面を大事に設定したいと考えるようになりました。

発達障害のある子どもたちの場合は、日々の生活の中で、
失敗経験を重ねてしまいがちで、
その中で、「どうせやっても自分ではできないから」と意欲や自信を無くし、
結果的に、能力を発揮することを怖がったり嫌がったりして、悪循環に陥ってしまい、
次第に指示待ちになったり、他者の決定に依存したりする傾向が多くみられるようです。
それが、表面的な問題行動の減少ゆえに、
「社会的な適応」という形で評価されてしまうことの怖さもあります。

ムーブメントは、遊びの活動を基本とし、
「〜させる」ではなく、本人の「〜したい」を大事にします。
誰かに命令されたり、指示されたことは、もはや「遊び」ではないのです。

子どもの「自己決定力」を育むためには、
自己決定にかかわる内容について十分な情報と
発達段階に沿った選択肢の提供が重要になるでしょう。


ムーブメントリーダーの『質問力』
−遊び活動における「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」の活用(2012/08/18)


の記事でもお伝えしたように、
 子ども一人一人の発達段階や個性に適した形で、
遊具や音楽や人同士の関係をアレンジして魅力的な遊び環境を創り出し、
子どもの「からだ・あたま・こころ」全体に問いかけ、
主体的な動きや表現を答えとして引き出す力が、
ムーブメントリーダーには求められますが、
これは、言い換えれば、遊びの中で、子どもが自分で選んだり、決定したりして、
自らの力で遊びの環境を創っていく体験を提供する力となるかもしれません。

「パラシュートに乗る」という活動は、
ダイナミックな揺れの刺激で身体運動能力の発達を促進します。
集団プログラムでしか体験できない貴重な活動でもあります。
けれど、ムーブメント教育・療法の究極の目的は、「健康と『幸福感』」の達成です。
青年期、成人期までの発達の流れを考えたとき、
「幸せ」の価値観は一人ひとり違うけれど、
「幸せ」になるために、「自分で決める」という力は、「自分の人生を生きる」力の源で、
全ての子どもたちに必要な力だと思います。
そう考えると・・・、
「パラシュートに乗らない」という形で参加することを決めた個人の意思を
まず受け入れることも大事なのだろうと思います。


単発の公開教室でしたから、彼が「『今日は』乗らない」と言ったことに対して、
『次は』の機会が約束されていたら、
リーダーの私にも周囲の大人たちにも、もっと心の「余裕」があっただろうと思います。

だから、子どもたちの生活の基盤となる地域や学校や保育園等の環境下で、
無理のない自然な形で継続的な取り組みとして、生活の一部として、
ムーブメントによる遊び活動が展開されることが重要だと考えます。

「ゆっくり、楽しく」・・・ですね。

そのために、できることを引き続き考えていきたいと思います。

ずっと考えていたことを久しぶりのブログに書いて長くなってしまいました。
最後まで読んでくださってありがとうございました。

今日は、 クリエイティブムーブメントプログラムの紹介〜みんなで海底冒険〜(20120/09/03)の記事で、スイミーの絵本のように、みんなで大きな魚になって動いた活動の説明で、詳細は後日・・・・♪とお約束していた、「個人空間と共同空間」のお話です・・・。

*****
ムーブメント教育・療法の活動では、空間に対する身体の関係を知ることが基本となります。

個人空間とは、手足を広げてふれることができる範囲の個人を取り巻く空間のことを指します。

自分の個人空間の大きさを知るためには、できるだけ小さくなったり、あらゆる方向に手足を伸ばして大きくなったりして、自分の身体で届く範囲を確認することが有効です。
kuukan001.jpg
「どこまで届くかな」と言葉がけをしたり、音の強弱、高低で「小さくなる−大きくなる」のイメージを助けたりするとよいでしょう。

身体が球体の中に入っているイラストを見て、これがどんどん小さくなってきたり、内側から押し広げて大きなったりするようなイメージで動くと解りやすいでしょう。




一方、共同空間とは、複数の人間が利用している空間のことです。

共同空間は、グループに割り当てられた空間を自由に動き回ることで知ることができます。

例えば、子ども達に、部屋の中を走り回って、お互いにぶつからないようにうまく避けながら、部屋の隅々まで動いて回るように促してみてください。
空間の広がりを意識できないと自由に方向転換して移動することができず、身体意識の発達が十分でないと他者や障害物をうまく避けて動くことができません。

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空間を自由に動くためには、身体の中心から、上下(垂直方向)・左右(水平方向)・前後(矢状方向)の3つ方向軸を把握することが大事です。
 
輪になって座り、全員でロープを持ち、上下左右にロープを持った手を動かしながら、方向性を確認したり、「右・右・右」と声に出しながら、ロープを右に回したりする活動は、方向性の課題として有効です。

また、輪になって立った姿勢で、ロープを持ったまま移動することもできます。「前・前」と言いながら輪の中央に集まったり、「後ろ・後ろ」でロープがピンと張るまで広がったりします。

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セミナーや研修で私がよく紹介するのは、二人組で常に横に並んで移動する場合と、向かい合った関係や背中合わせの関係を保ったままで移動する場合の違いを体験する活動です。

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 例えば、上の図だと、共同空間においては、二人一緒に移動していますが、向かい合った場合や背中合わせの場合では、動いた軌跡に対して、自分自身の身体を軸にした方向性は逆のものになります。
 フープやロープの輪の中に3人、4人と入って行うと、もっと複雑になります。

*****

 このような基本のワークを活用して、子ども達が、楽しみながら空間を意識して動く体験ができるように、海底冒険のプログラムはつくられています。

 ダンスムーブメントでは、まずは円になって座ったまま、手を前に出したり上に上げたりして、自分の身体を軸に方向性を確認します。

 次に、立ち上がってみんなで輪になって、サークルダンスを楽しみながら、全体で前に後ろに、右に左に・・・と動きます。 

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 このとき、ひとつのパターンとして「右・右・右・右/左・左・左・左/前・前/後ろ・後ろ・後ろ・後ろ〜/前〜」という動きを繰り返し体験しておきます。

 そして、イタズラなサメを追い払うために、みんなで大きな魚になろう!というシーンでは、ロープやスカーフの輪の中に全員が入り、皆で、「右・右・右・右/左・左・左・左/前・前/後ろ・後ろ・後ろ・後ろ〜/前〜」という声をかけながら動きます。

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 例えば、このとき、輪の後方で後ろ向きにロープを持っている人は、全体が前に進むとき、自分は後ろに進むことになりますね・・・。 大人にもちょっとチャレンジングな課題ですね♪

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特別支援教育・体育に活かすダンスムーブメント
〜「共創力」を育み合うムーブメント教育の理論と実際〜

大橋さつき著 明治図書出版

第3章 ダンスムーブメント実践のための基本ワーク
1.自分の身体でできることを知ろう
(1)空間を意識して動いてみよう 

より一部引用

 水中ムーブメントのパイオニア、荒井正人先生から、冊子をいただきました。

 学研の「実践障害児教育」7月号に、水中ムーブメントの特集記事が掲載されています!

 子どもが積極的に楽しめる水中ムーブメントの場面づくり

 疑紊涼罎鯤發ながら身体像を育む
  身体を使った導入プログラム

 橋戯犇偽颪鮖箸辰匿搬凌渕阿魍惱する
  ボールを使ったプログラム12
  フープを使ったプログラム6
  ビート板を使ったプログラム17
  浮島と浮き棒を使ったプログラム10
  サーキットトレーニングプログラム

 といった内容で、1〜13ページまで、水中ムーブメントの概論のまとめ、具体的な活動事例と解説、そして、こんなときどうする?に答える「留意点」もあって、役に立つ内容がぎっしりです!


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 2009年度に、荒井先生にご指導いただいて、学生達が取り組んだ水中ムーブメントプログラムのことを思い出しながら、読みました。

 和光大学でムーブメントの実践研究活動を行う学生団体「遊び種(あそびぐさ) たんぽっぽ」の企画が、さがまちコンソーシアム大学市民講座(2010年2−3月講座)の「学生講師」プログラムに採用されて、 
 
 温水プールと劇場の地域施設環境を活用した親子遊びのプログラムとして、 「みんなでつくろう!ドラマムーブメント わたげちゃん 水と光の冒険」 の企画・運営に挑戦しました。

水の冒険では、「さがみはら北の丘センター温水プール」の贅沢な設備を使わせていただいて、水の環境を思いきり活かした親子ムーブメント教室を開催しました。
 
 詳細については、以下の記事をご参照ください。
 
 *荒井先生の特別講義の報告はコチラ↓
  水中ムーブメント実習報告(2010/01/19)
 
 *プログラムの詳細については、コチラ↓
  わたげちゃん 水の冒険!水の環境を活かした親子ムーブメントプログラム紹介(2010/02/14)
 
 *準備の様子を紹介した記事は、コチラ↓
  学生が地域に飛び出す意義(2010/02/03)

  

 

 ビジネスの世界でも教育や医療福祉の現場でも、そして、飲み会で上手にコミュニケーションをとりたい人向けにも、相手に良質の質問をすることが効果的ということで、「質問力」なんて言葉が注目されていますね…

 良い質問をするための技法として、広く知られているものに、

  「クローズドクエスチョン」 と 「オープンクエスチョン」 をうまく使い分ける
 
 というものがあります。

 「クローズドクエスチョン」は、閉じた質問型…、つまり、「はい」や「いいえ」で答えられるような質問です。 (「この映画は見ましたか?」、「昨日は良く眠れましたか?」…etc.)、

 「オープンクエスチョン」は、開いた質問型…、様々で幅広い答えがあリ得るような質問です。 (「どんな映画が好きですか?」、「睡眠の具合はいかがですか?」…etc.)


 クローズドクエスチョンは、質問者が知りたいことについて、短時間で効率良く情報を得ることができることと、答える相手に心理的負担をかけることが少ないことがメリットと考えられています。なので、事実をはっきりさせたいときや会話を切り出したいときに適しています。

 けれど、一方的にクローズドクエスチョンを繰り返すと相手に「詰問」や「尋問」をされている印象を与えたり、無理に二者択一で答えを求めるのは、相手にこちらの枠組みを押し付けることにもなるので、注意が必要だと言われています。

 一方、オープンクエスチョンは、相手に答えを考えさせ、表現してもらうので、質問者が思いもよらなかった情報を得ることができたり、相手にとっても答える瞬間まで自分自身で気づいていなかったことを意識化させたりすることができます。ですから、部下や子どもの「考える力」を育てるためには、積極的にオープンクエスチョンをするように!と書かれてあるものが多いですね…。

 しかし、質問の焦点がなかなか定まらずに長引いてしまうことや、答えの幅が相手に委ねられているので、その人自身の思考や表現力、その時の気分、質問者との親密度・信頼関係によっては、「特に、ありません」とか「…よくわかりません」とか、「別に…」なんて答えしか戻ってこないこともあります…。

 ですから、この2つの質問の型のメリット・デメリットを把握して、臨機応変に使い分けることが大事と考えられています。

*****

 さて、前置きが長くなってしまいましたが…、

 ここで、 ムーブメントリーダーに必要な「質問力」について考えてみましょう…。

 ムーブメント教育・療法の活動では、リーダーの「命令」や「指示」で「〜させる」ことをできる限り少なくして、音や遊具など様々な環境をアレンジして、子どもが主体的に「〜したい」と思う場面を大事にしています。 

 ムーブメント法のよる遊び活動の場面においての「質問」というのは、「主体的な動きを引き出す問いかけ」と考えることができると思います。 そして、そのために、子どもの発達や個性に合わせて、クローズドクエスチョンの誘いかけをする環境とオープンクエスチョンの問いかけをする環境を臨機応変に提供することがムーブメントリーダーの役割となるでしょう。

 「この遊びやりたいですか?」「こんな動きできますか?」と具体的な活動を提示して問いかけることが、ムーブメントの中のクローズドクエスチョンにあたると思います。そして、リーダーがこの質問をたくさんできるということは、それだけ、遊びの活動案を豊富に持っているということになります。

20120629_104848.jpg 発達段階に合わせた遊び活動案についての理解がしっかりできていれば、その月齢の子どもが最も夢中になり挑戦したいと感じるはずの遊びを提示できるので、ダイレクトに答えがでるクローズドクエスチョンの方法で活動を展開していくのは、効果的です。発達に遅れや偏りのある子どもを見つけることにもつながります。
 
 例えば、大学院生たかちゃんの記事「年齢別遊具の活用〜形板編〜」にもありましたが、歩き始めたばかりの1歳児の子ども達にとっては、形板を一列に並べてあげるだけで、「まっすぐに歩いてみたいですか?」または「まっすぐに歩けますか?」 という問いかけが成立しています。

 「はい」の答えの表現として、子ども達は楽しそうに一本橋を渡っていきます。
 (もちろん、「いいえ」のときもあるでしょう。そのときは、リーダーは、活動案を見直して環境設定を工夫しなおしたり、子どもの発達について注意深く観察したりする必要があります。)
 
 形板遊具を活かした移動の活動を事例に考えてみると、問いかけは、子どもの発達に応じて、まばらに置いた形板を島渡りのように踏んで行けるかな? → 逆に踏まないで歩いていけるかな?→ お友達と手をつないだまま歩いていけるかな?→ 音楽が聞こえている間は、形板を踏まないで進むけど、音が止まったら形板の上に乗って止まることができるかな?等々…と発達段階に合わせて発展していきます。 

 本来、「はい」「いいえ」の二者択一の答えを求めているクローズドクエスチョンの問いかけにおいても、子ども達の「やりたいです!」「できるよ!」の答えとして現れる動きが一通りでは無い場面が多いのも、ムーブメント活動の面白いところです。例えば、上記のような活動でも、どの形板を選んでもいいので答えは一つではありません。


 研修セミナーの実技でも、形板の島渡りの活動の最後には、私は、よく、「スタートからゴールまで、何枚の形板を踏んで渡っていきますか?」と質問をします。 大人の先生方でも真顔で考えて、「できるかしら」とドキドキしながら、自分で答えた枚数になるように工夫して取り組んでくださいます。

 充実したムーブメントプログラムには、発達に比例して、クリエイティブな要素が増えていき、リーダーは、「別の方法でやってごらん」という言葉がけをすることを推奨されています。つまり、「〜ができますか?」というクローズドクエスチョンを使った活動にも「答えが一つではない」ものが多くなっていきます。

 少しずつ「どうなふうに…」や「どうやって…」の問いが加わっていき、オープンクエスチョンの要素が混ざって多くなっていると考えることができるでしょう。環境の問いかけに対して、子ども達がその答えとして遊びを展開していく中に、自然と、「自己決定」、「自己表現」、「問題解決」の力が必要になっていくのです。
 
 一方で、自分の想いやイメージを身体で自由に表現するといったダンスムーブメントの活動がムーブメントの中でも最も高次の創造的な課題として設定されていますが、これは、まさに、「あなたはどんなふうに動けますか?」「何を表現したいですか?」というオープンクエスチョンの問いかけによる活動の極みと考えることができるでしょう。

 しかし、この自由な問いに子ども達が豊かに答えるためには、「この動きできるかな?」と様々な動きの提示によって具体的な模倣を促すような経験を沢山得て、媒体となる自分の身体をよく知り、自由に動かす力が必要になります。
 
  「こんな動きできますか?」といったクローズドクエスチョンと「自由に動いてごらん」というオープンクエスチョンの両方を織り交ぜて、子どもの主体的な動きを引き出せるかどうか、誘引力のある遊びの場づくりができるかどうかが、ムーブメントリーダーの力量と言えるでしょう。
 
 このように考えてみると、ムーブメントリーダーに必要な「質問力」とは…、

 単なる「言葉がけ」や「会話」だけの技量ではなく、
 子ども一人一人の発達段階や個性に適した形で、遊具や音楽や人同士の関係をアレンジして魅力的な遊び環境を創り出し、子どもの「からだ・あたま・こころ」全体に問いかけ、主体的な動きや表現を答えとして引き出す力

 …と考えることができるでしょう。

*****

 「はい、では、さつきせんせ〜い、この風景を活かして次はどんな楽しいことができますかぁ〜?」
  
 …えぇっ

 …研修セミナーや教室で、突然、リーダーを無茶ぶりバトンタッチされるときの小林芳文先生からの「超オープンなクエスチョン」に、私は、今もなお育てていただいています…

 現在取り組んでいる「遊びの場づくり」支援者研修(全5回)の3回目は、ムーブメント教育・療法独自のアセスメント法であるMEPA- Rについてです。

 詳しい内容は、以下の記事をご確認ください
  遊びを生み出すアセスメント〜MEPA-Rの活用〜

 先月、乳児院でもこの内容の研修講座を実施しました。座学は苦手と言っていた職員の皆さんですが、すごく熱心に90分の講義を聞いてくださいました。

 研修後の意見交換や後で提出してくださったふりかえりのコメントに、「経験不足による未発達をふせぐ」というMEPA-Rの効用にとても期待している、積極的に活用したい…という内容が共通してありました。

 乳児院に長く過ごすお子さんは、養育者がどんなに愛情豊かに育んでも、どうしても、一般の家庭で育つお子さんに比べて、「経験不足による未発達」が目立つのだそうです。

 例えば…、

 「入浴」という日常の営みは、乳児院ではどうしても衛生面の確保を一番に、多くの子ども達を確実に清潔にするために流れ作業になってしまうのだそうで、裸の大人と一対一でゆっくりと湯船に浸かって遊んだり歌ったりする体験を得ることはありません。

 それから、食事の場面でも、調理室と食堂が離れていて、ご飯が炊ける臭いやお湯が沸騰する音を知らずに成長していきます。

 大勢の子ども達を連れて公園や散歩に出かけたり、地域の保育園との交流に力を入れたりして、社会との繋がりの中で得る経験も大事にしておられるそうですが、やはり、大勢の子ども達を連れて出かけられる場所は限られているため、

 乳児院の子ども達は、家庭の子ども達のように、小さな頃から親が買い物するためにスーパーやコンビニに連れて来られる…という経験も不足します。

 お店にならんだたくさんの商品の中から欲しいものを見つけてひっくり返ってだだをこねてみたり、買い物や貨幣の仕組みについて自然と理解したりすることができません。

 このような具体的な事例を聞いて、なるほど…と、乳児院の現実にあらためて驚いたのが正直な感想ですが...、

 それ以上に、乳児院の保育士さん達が、MEPA-Rというツールを手にしたことで、遊びの中で子ども達の経験不足による未発達をふせいでいけるということに、とても前向きになっていることが解り嬉しくなりました。

 MEPAーRが生活に溶けこんだ身近な項目からできているアセスメントであること…、

 チェック項目が同時に遊びの活動案になっていること…、

 また、「できないところ」に目を向けてそこを補う…という考え方ではなく、「ストレングス(得意なこと・好きなこと・興味があること…)」に着目して活動をつくり全体的な発達を引き上げるという考え方に基づいていること…、

 など、MEPA-R活用の要点を知り、生活を共にしている乳児院のスタッフだからこそ、より細かく子ども達の「ストレングス」の情報を把握できている!これらを活かさない手はない!と感じたそうです。

 キラキラと目を輝かせて、すぐにその場で、あれやこれやと子ども達との遊びの案を考えている乳児院の職員の方々の顔を見ていると、ますます、「遊びがいっぱいの大きな家」になるといいな〜と思います

 先週までに研修講座を立て続けに担当させていただいて、今、その参加者の方からお寄せいただいた感想文やメールをじっくり読み込んでいます。

 拙著を手にしてくださった方が、私があとがきに自分の想いを代弁してもらおうと転載したフロスティッグの言葉に感動したとメールをくださいました。

 自分が大事と思うことを本を通してお伝えして、その反応を知りまた嬉しくなります。
 
 フロスティッグ博士の思想を追い求め、私自身、どっぷりと「終わりがない」旅に出てしまっている自覚がありますが、どこに辿り着くのか解らないけど、道中、楽しんでまいります…!?

 特別支援教育・体育に活かすダンスムーブメント
 「共創力」を育み合うムーブメント教育の理論と実際 大橋さつき著
 あとがきより抜粋
 
 教師のおこなう教育は、教育についての最新の考えと技術をいつももっているということだけではなく、すべての子どもについて配慮するのと同じ仕方で、自己の人格をも教化することでなければならない。

 文明のもっともよき伝道者とは、自分自身を教化する人のことである。

 倫理的態度のもっともよき伝道者とは、自分自身が倫理的な人のことである。

 尊敬と共感性のもっともよき伝道者とは、自分自身を尊敬し、共感する人のことである。

 学問への情熱のもっともよき伝道者とは、自分自身が情熱的な人のことである。

  美のもっともよき伝道者とは、自分自身が美しいものを愛する人のことである。

  創造性のもっともよき伝道者とは、自分自身が創造的な人のことである。

 こうしてみてくると、私どもの教育には終わりがないのである…。

           (マリアンヌ・フロスティッグ著 伊藤隆ニほか訳『人間尊重の教育』あとがきより)


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  遊びがいっぱいの大きな家(乳児院での遊び活動支援) の記事でご報告しましたが、今年度は、乳児院の現場でも、ムーブメント法による遊び活動の展開をお手伝いをさせていただいています。
 
 先日の研修時、質疑応答の時間に、職員の方々が日常での取り組みの様子の一つとして報告してくださった話に、とても感動したので、書いておこうと思います。

 家族の背景に様々な事情を抱える乳児院の幼い子ども達にとって、実の親との面会の時間が、時に、「慣れていない大人」と狭い部屋に閉じ込められる苦痛の時間・・・になるという辛い現実もあるのだそうで・・・、

 先日も、ある女の子が親御さんとの面会の時間、泣き叫んで嫌がり、親御さんも困惑するだけ・・・という硬直した状態になってしまったそうです。

 そのときに、今回の研修に参加してくださっている保育士の先生が、ふと思い立ってムーブメント遊具のスカーフを部屋に持ち込み、投げたり、揺らしたりの小さな遊び活動を取り入れたそうです。

 女の子は声を出して笑い、子どもの笑顔を見て親御さんも笑顔になり・・・、ほっとした空気になったと・・・、

 そして、その素晴らしい遊びの時間のことを嬉しそうに報告してくださる乳児院の先生方もまた素敵な笑顔で・・・

 たったスカーフ一枚で、ハッピーが増やせるってことを確認しました。

 遊びの場の意義・・・、共に生きるための遊びの場を共につくることの意義、自分で言ってきたけれど、・・・あぁ、こういうことなのかなって、実感できたような気がします。

感謝です・・・

 
*写真はスカーフを活用したクリエイティブムーブメントプログラム「葉っぱのフレディ」の世界の様子です。詳しくは、コチラ

  今週は、保育園、乳児院等のフィールドで施設内研修第3回で、「MEPA」の理解と活用についてお話させていただいています。

 MEPA (Movement Education Program Assessment)
は、1985年、日本におけるムーブメント教育・療法独自のアセスメントとして開発されたものです。子どもの運動スキルや身体意識、心理的諸機能、情緒・社会性の発達の状況を把握し、ムーブメント教育・療法における支援の手がかりを得ることを目的としています。

 つまり、単に運動発達年齢を知るための発達診断ではなく、アセスメントの結果を手がかりに、ムーブメント教育・療法による支援プログラムの構成につながるツールなのです。

 (なお、2005年には、基本となる構成・内容は変えず、必要なアセスメント項目を増やし全ての領域を30項目に統一して改善した、改訂版が出版されました。改訂の「Revised」がついて、現在のものは正式には「MEPA-R」と呼ばれています。)

 MEPAの構成やプロフィール表の作成について理解していただくために、詳しく説明をしています。

 「アセスメント」と聞くと、最初は少し複雑に感じるかもしれませんが、MEPAは、開発当初より、家庭や学校・保育園などの現場で関わる先生方が簡単に使えるように・・・と考えられたものですので、各項目は、誰でもが日常生活や遊びの中で自然に確認できる簡単な内容となっています。

 また、MEPAは、運動発達年齢を知るための発達診断にとどまらず、その先にある支援プログラムの充実、具体的な支援の流れをつくることを目指して考案されていますので、連携したプログラムガイドとして開発された「ステップガイド」を併用することで、「アセスメント→目標の設定→支援プログラムの考案→実践→アセスメント…」の循環的な流れにのって展開できる一体型のシステムになっています。
 
 たとえば、MEPA-Rの「姿勢」の領域には、「P-16:開眼片足立ちが一瞬できる」という項目がありますが、この項目に該当するステップガイドのページには、この項目に(±)や(−)の評価が入ったときに推奨するムーブメントプログラムとして、「形板に触れずに歩く」、「カラーロープをまたいで歩く」、「大人の支持で片足立ち」など、具体的な活動が紹介されています。


今回の研修で、私が大事にお伝えしているMEPA活用のポイントは・・・、
 
・家庭の「生活」と「遊び」の中で自然に無理なくチェックすることができ、その項目内容は、「評定」であるとともに、今日から取り組む「遊びの活動案」である。
 
 
ということです。MEPAを使って「発達検査」ができるわけですが、子どもの方はきっと「検査されてる」って気づきません。

 普通に生活している中で遊んでいるうちに、MEPAチェックはできるからです。初めての場所で知らない人の前で、突然、これで遊んでごらん・・・と馴染みのない検査用具を出されて、凍り付くお子さんだっていますよね・・・

 (ちなみに、当時、既にお兄ちゃんと口喧嘩もどきになるほどおしゃべりできていた我が家の次男坊、1歳6ヶ月健診では検査員に背を向け抱きついて固まり一言もしゃべりませんでした・・・。)

同じような意味にもなりますが、もう一つ・・・、

・親や親しく関わる担当者(保育者・養育者)による「芽生え」の発見が重要!

という点を強調して「芽生え(±)どんどんつけてください!」とお伝えしています。 

 MEPAの特徴の一つとして、「できる(+)」「できない(−)」に加えて、もう少しでできそうなもの、やりたがっているができないもの、できそうだがやらないものなどから「芽生え反応(±)」の評定をつけけることが推奨されている、という点があります。

 評定者によって結果が変わる・・・と考えると客観性とか信憑性とか疑問に思われる方もいるかもしれませんが、これら芽生えの反応の発見には、きめ細かな観察と信頼関係の構築が必要であり、共に生活を営む家族や親密に関わる担当者だからこそできる作業で、支援プログラムの発展においては重要な鍵となっていると考えられています。

そして、MEPA活用の効果としては・・・、

●小さな発達の変化や芽生え反応を捉えることができる。
●経験不足による未発達をふせぐ。
●遊びの環境づくりの指針になる。
●子どもに関わる人々の間で 情報・課題・喜び・達成感などの共有ができる。


といったことをお伝えして、活用に向けて具体的なイメージがわくように、私達が実施したMEPAサーキットプログラムを紹介しています。
 
 あそびのわわわプロジェクトブログ
  「遊びの場づくり」研修講座第3、4回(MEPA-Rの活用)報告 もご参照ください。

 研修に参加された先生方が、「これすぐ使えそう!」っという表情で資料をぐぐっと真剣な眼差しで読み込んでいたのが印象的でした。

 質問にお答えしながら、私自身もあらためて、一般的なアセスメントや発達検査法と比較した場合、MEPAには、ラベリング(評価・評定)する要素より具体的な活動案を生み出す要素の方が強いんだな〜と感じました。

 評定すること自体が目的ではなくて、子どもの発達を支えるために豊かな遊びの場を家庭や現場につくるためのアセスメントなんだと・・・。
 
 もう随分前ですが、ある障がい児のお母さんが

「色々な施設を回って、検査や診断を受けたけど、ラベリングされるのはもうたくさん!! 結局、じゃぁあ、どうしたらいいの!?って焦りと不安が増えるばかりで・・・。 そんなとき、ムーブメントに出逢って考え方が変わりました」

 とお話してくださったことを思い出しました。

 私自身にとっても新しい気づきと学びの場です。残りの研修も楽しみに参ります・・・